私たちについて
保健の専門集団
保健というと公衆衛生(public health)とほぼ同義 と思われると思います。確かにほぼ同じ部分がありますが,保健(health sciences)は公衆衛生とは若干異なっていると思っています。保健には,個々人の健康を保つための方策も含まれています。私たちは,個々人の状態を考慮して健康を保ち,回復し,より健康に導き,well-beingの向上に寄与できるように,日々研究,実践,教育を行ないます。

ストーリー

創業者の一人である乾は,行動遺伝学という学問分野の研究者である。この学問分野の関心は多岐にわたるが,その研究手法は共通しており,表現型に対する遺伝と環境の影響を知ることにある。一卵性双生児の人は,遺伝的に100%同じだが環境が異なっており,その結果として健康状態も異なる。このように,健康は遺伝(その人自身の影響)だけでも環境の影響だけでも,決まる訳ではない。常に,遺伝と環境の組み合わせで決まっている。このことは,健康や病気の話だけではなく,知能や能力,性格,様々な行動様式と,人の活動全てに関係している。
遺伝と環境の組み合わせで様々なことが決まってくるといっても,遺伝と遺伝の組み合わせ(つまり両親から子供が誕生する際に起こっていること)だけでも数え切れない程に多様(同じ配列の人は一卵性双生児以外にはいないといっても間違いではない)であるところに,遺伝と環境の組み合わせとなると,無限にあると言って良い。
つまり,良いとか悪いとかが人によって異なっているということである。現代の西洋医学あるいは科学的な思想では,どうしても良いか悪いか,正しいか間違っているか,という二極化した議論になりがちである。しかし,「太極図」を思い出してもらいたい。黒でもなく白でもない,両者がバランスの取れた状態を最適とするものである。
その人にとって,いろいろな軸で物事を考え,評価し,検討した結果,全体としてバランスが取れている状態こそが,well-being(良くある状態)なのではないかと考える。
われわれのチームの多くが中国にルーツを持つ看護師や介護福祉士である。中医学(中国の伝統的な医学,日本に伝わって独自に発展したのが漢方)の基本的な考え方は中庸つまり太極図である。また,看護学という学問の創始者と考えられているフローレンス・ナイチンゲールの考え方は,端的に言えば「その人の治ろうとする力を最大限引き出せるようにするために環境を整えるが看護」である。これは,細菌やウィルスが発見される前に疫学的な知見に基づき考えられた感染症対策の話であるので,どこまで一般化できるかは議論があるかもしれない。しかし,おそらく全ての健康状態に一般化できる話であると思う。このナイチンゲールのいう看護も,中医学的思想や遺伝と環境の影響という切り口とよく似ている。
一般的には,看護というと西洋医学の一部で病気を治すことの一部だと思われがちである。しかし,今まで見てきたように根本となる思想は若干異なっていると言っていい。われわれは,保健の専門家で,看護学を背景にしており,実際の手法としては看護や介護(介護というのは看護の一部だと思っているが,異論がある人もあるかもしれない)のテクニックを身につけている。
われわれは,このような専門的な知識を活かして,人々の役に立ちたいと考えている。そのために,まずは訪問看護,訪問介護で個人に合ったwell-beingを支援したい。
そのような思いでわれわれは会社を立ち上げることにしました。会社名の福麗園は,well-beingの中国語の一つである「福利」にみんなが集まる場所という意味で園(縁と円も同じ発音)をつけました。